手元にあった牧野富太郎の野外植物図譜を見たり
牧野富太郎の生涯が朝ドラ化されて毎朝のように見ているが、そういえば牧野富太郎著の植物図鑑があったはずと本棚を探したら出てきた。原色野外植物図譜 学生版 と表紙に書かれた古い本だ。50数年前に東京のどこかの古本屋で買った覚えがある。昭和10年11月30日発行 昭和16年6月15日再版発行 定価弐圓弐拾銭 と後ろにあり、牧野の著者印も無論ある。戦前の出版だ。野草の名前を書いた図鑑を古本屋で探したらスミレ16種から始まるこの本に出会って丁度いい本として買ったような気がする。戦前の本にしてはカラー版が豊富で、フーンと思った、戦前のカラー印刷というと着色した絵葉書くらいしか当時見たことがなく、色に誇張の無いきちんとしたカラー写真だったことに少し驚いた。700種位の身近にありそうな植物を小さい本で紹介している、今見ても役に立ちそうに思える。
自宅玄関の前に花の鉢をいくつか並べているが、結構雑草が出てくる。雑草という名の草はない、というのは牧野の言葉だが、昭和天皇もたびたび口にしていたようで、昭和天皇の言葉としても伝えられる、しかしこの地では雑草は厄介だ、雑草は雑草だと抜いては捨てていた。中に小さな花をつけたものがあり、抜かずに写真に撮ってネットで調べてみるとすぐ名前がわかった、最近は写真検索で結構よく当たる、ハキダメギクという植物だ。 説明はWikipediaに出ていてこれを読むと日本での発見者は牧野富太郎で世田谷の掃きだめで発見してハキダメギクと名付けたとある。ちょっとあんまりな名だ。英名はshaggy soldier(毛むくじゃらの兵士)といってこれもあまりいい名ではないがハキダメよりははるかにましだ。ハキダメでは如何にも雑草ですと言っているようでもある。
気になって牧野の野外植物図譜を調べてみるが載ってはいない、1920年代には発見していたはずだからこの本の出版時には間に合っている、雑草のような植物と小ばかにしていたのだろうか。牧野の姿がリアルに感じられて面白い。
それにしても牧野富太郎はマニアックな人だ。戦前という時代はこだわりの塊の人たちで動いていたのかもしれない、今はどんな時代なのだろうか。
添付写真は手元にある 原色野外植物図譜学生版 と 自宅の鉢で花をつけるハキダメギク。