2021年7月12日 (月)

梅雨前線を引くのが

梅雨も終盤を迎えてあちこちで豪雨被害が出ている。


気象を眺めていてこの時期頭を悩ませるのが梅雨前線の引き方だ。通常の温帯低気圧、古典的ないわゆるベルゲン学派モデルの低気圧、では暖気2021071012spas_ と寒気の境目は気象データから読みやすく、その境目である前線を引くのはそれほど困難なことではない。しかしこの時期の梅雨前線はその上下が注目される割に気象データや数値予測データから前線位置を見定めるのはそれ程容易ではないように感じている。前線前後の気温の差もそれ程明瞭ではなく相当温位の分布図も多分に入り組んでいる。よく気象庁は引いているよと思うことがこの時期多い。
2021071018tanki_ 例えば今年7月10日21時(JST)の前線位置は速報天気図では図のように示され、これを解説した短期予報解説@12日am3ではその下の図のように今後の動きの予測を示している(図の数字(FT)は10日21時から何時間後かという値)。この予測図のもととなったであろう850hp相当温位の予報図をみると相当温位線が集まったところを拾っても前線位置にはならない(さらにその下の図)、薄っすら見える風の変わり目がその根拠のように見える。しかし気団を分ける前線がこんなフワフワしたものかとも思ってしまう。もう少しマクロに500hp高度の相当温位線を見てみると明らかに境目が日本列島に沿って見えてくる(右下の図)。これを見てもう一度850hpの相当温位図を見ると、そこらあたりの風の変わり850hpte21071012a 目が上空まで伸びて前線を形成しているとのイメージが出てくる。それならこんな風に引いてもいいかと思えてくる。
いつでもこんな手順で引けるわけでもない、南の太平洋の気団とオホーツクの気団の境目がどこかにあるはずだと色々なデータを見比べてやっと引けるような気がしている。こんな風に気象データを眺めるのもこの時期の楽しみでもある。

梅雨の終わりに近づき次第に日本上空のジェット気流が弱まり風も見にくくなってきている。そろそろ500hpte21071012utc3 梅雨も明けるということになるのだろう。

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2020年8月16日 (日)

コロナの日々は気象のことでも


先日、気象予報士会のリモートの支部会(ズーム会議 )で線状降水帯の説明があって、そうだったのかと少しわかった気がしたが、線状降水帯発生条件のところに出てきたFLWV(Flux of water vaper)の日々の計測値は一体どうなっているのだろうと気になって、この値をゾンデデータから計算してマップに書いてみようと始めた。
立方米当たりの水分量(gr/m3)に風速(m/s)を掛けた量で表される時間あたりに流れ込んでくる水分量がFLWVになる、この値が150を超えると線状降水帯が出来やすくなるという。作図はこれまで描いていた混合比分布図(大気1㎏当たりの水分量(グラム)の分布図)を風速や大気密度を掛けて改修すればそんなに面倒なことはなくできそうではあった。
混合比や気温分布図はこれまで地上に準ずる高度として250m高度で切って作図していたが、文献ではFLWVは500mでみているようなので高度が少し高い、500mで風や気温・混合比・気圧等を改めて切ったデータを作ることから始めた。エクセル上の補間でゾンデデータから作ればいいので難しくはないが思い出しながらやるのでそれなりに手間はかかる。
MSMによるFLWVの予測値と実測値の鉛直方向比較も福岡について毎日やってみることにする。福岡という街は計測データが高度方向にもあって都合がいい。1日仕事で図ができ始めるとそれなりに面白い。

2020081118kinou まずMSM計算のFlux予測値との比較だがその日の午前3時JSTベースの21時JSTのMSM予測値とその日の21時JSTの実測値とを比較してみると、地表付近の風速分布の予測精度があまり良くないせいで結構合わない。予測はまだこんなものなのだろう。また250mで切ったのではやはり下過ぎるような気もする。
マップのほうでは、混合比は特に大きくないが風速が大きくなるところでFluxが大きくなってしまって、ここでは雨は降らないだろうというところもFlux大と表示されて見やすくもない。手始めに見てみた13日の図では中国東部から朝鮮半島に延びる線状降水帯様な状況はFluxの高まりで確かに検出できるが、同様にFluxの大きい八丈島付近では雨は計測されず勿論線状降水帯もできてこない、一つの可能性の資料としてみる位のような位置づけとの気がしてくる。混合比図に書かせてある風ベクトルを眺めてここらあたりが風も集中し湿舌も伸びてきて危なそうだとした方がリアルでわかりやすいような気もする。
202008132122ame 2020081321jstflwv 手間が増えるがともかく暫く見て行こうと思う。今年は日本だけでなく中国から朝鮮半島にかけて線状降水帯が現れやすくなっているようにもみえる。自分で作図するとまた新しい感覚で気象を眺められるのが面白い。

こんな風にコロナの日々は淡々と過ぎていく。

図は右上FLWV予測計算値(MSM)と計測値の比較、福岡8月12日21時JST

上左8月13日21時-22時降水レーダー計測値、下右8月13日21時500mのFLWV計測値(青線)分布、黄色エリアは150g/m2/s以上。

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2020年7月27日 (月)

梅雨もやっと終わりが

Kaimenondo0725 長かった梅雨もやっと終わりが見えてきた。今日の海洋データを見るとペルー沖の海水温度が平年より低めでラニーニャ気味のためか小笠原高気圧 が弱く梅雨前線がなかなか北上しない。

それに成層圏付近の高層の大気の流れが時々極めて激しい波打ちをしたりもしている。日本付近から北極付近まで一気に流れ込む状況も1週間ほど前には観測されて地球大気のミキシングをいつもの年より地球が強く求めているようにも見える。

Kousouzu0720 それだけ北極付近と赤道付近の大気の熱量差が大きくなったということだろうか。この程度は地球に暮らす以上遭遇する物理現象として耐えねばならないということになるか と思ってしまう。

 

こう雨が続くと日常の生活は、自粛自粛が続くこともあって微視的なことに面白さを見つけるようになっていくと感じている。最近体験した実にトリビアルナことは例えばサーキュレータの首振りだ。
もう10年くらい使っているサーキュレータ―(HFT-115-BK)の首振りがガタガタとスムーズでなくなって気になっていた。これはできることなら修理したい。
ファン部分の前カバーを外してみたり、裏返しして隠しネジを外し底板を外して5-56を振りかけて見たりするが良くならない。あきらめてネジを元のように締めて動かすとかえって動きが悪くなり殆ど首を振らなくなった。変だ。暫く眺めていると水平な板同士がこすれあって回るのが良くない気がしてきた。少し傾けて当たりを変えた方がいいかと、何かの輸送用のパッケージに入っていて不要となっ

たプラスチックを底板の片側にかまして傾けてみる、と、うまく首振りを始めた。やはり水平に擦れ合うのが良Hft115bk くなかったようだ。一応一件落着だ。
全く大したことではないが何となくわかって解決すると気分が少しいい。

もう2日もすればとにかく梅雨明け状態にはなりそうだ。少しは日常も変わってくることを期待している。

暫くサーキュレータにプラスチックをかませて傾けて使っていたが、ちょっと邪魔くさい、これは底板の隠しねじのカバーとなっている4つの突起をいじって傾きが少し出るようにすればいいかもしれないと思い至り、早速試してみた。右の2本を引っ張り出し左の2本を押し込んで傾きを作ってみるとこれでうまくいく。そもそもそういう風にしつらえてあったのをネジを外してまた復元した時にフラットにしてしまったのかもしれない、ここがノウハウとなっている製品なのだろうか、なかなか味なことをやると思ってしまう。トリビアルなことが面白い日々が過ぎていく。

Fanura0816a1a

 

 

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2019年8月15日 (木)

ウスバキトンボ

毎日その日撮った写真をインスタグラムにアップするということをこのところ続けているが、思いの他毎日新しいことを見つけることになって刺激的だ。
最近ではウスバキトンボというトンボに少し驚いている。この一ヶ月くらいあちこちの公園で黄色いトンボをたくさん見かけるようになった。最初Usubakitonbo0809 はアキアカネの羽化したてのトンボかと思っていたが、インスタグラムに上げようと写真に撮ってよく調べるとウスバキトンボというトンボでアキアカネではないと解る。更に世界的に多い種で海を渡って北上して来たトンボとも解る。もちろん1世代では長い渡りはできない、途中で世代を引き継いでの北上となっているらしい。不思議なのは冬を越せない位寒いところまで北上して戻りがない片道切符の渡りとなっているいうところだ。一体何のための北上なのだろうか、明快な説明はなされていないようだ、謎とされているようにいえる。
面白いので少し考えてみる。北上するという習性は多くのウスバキトンボに共有されているようで、経験が引き継がれたのではないことが明らかな以上何らかの形でDNAに書き込まれた行為としか思えない。
種の多くの個体を存在せしめ続けるのがDNAの目的ならば南方で過剰なほどに孵った個体は、無駄な縄張り争いをするより何割かは北上して居場所を増やしてくれた方が都合がいいということだろうか。その子孫が死滅しても毎年北に送り込めれば地球上の広い地域をカバーして夏場の地球全体の個体数を数多く維持できる、夏場だけでも目的は達成されるということだろうか。
結果的にはそうでも何だか変だ。これは、現在よりはるかに温暖な時代があってその時代の行動様式を未だに保ち続けている、それができている、ということではないかて思ってしまう。今も続く氷河期のサイクルが始まってまだ3百万年くらいしか経っていない、トンボという種はそのはるか昔から地球上に存在していてその頃はずっと暖かく北に行っても冬を越せない程の低温になることなどなかったということは十分考えられる。温暖化はトンボにとっては氷河期という環境破壊がやっと終わりかけてくれるという事なのではなかろうか。ウスバキトンボにとってはこの日のために渡りの習性を温存できたという事ではなかろうか。
温暖化による環境破壊だと己の生き残りのことばかり叫びたがる人類はもっと謙虚になるべきなのではなかろうか、そんなことも思ってしまう。
ウスバキトンボ一つでも奥が深い、この世は面白くも興味深いことで満ちている、生きて感じることすべてが貴重だ。

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2017年10月24日 (火)

台風と灯明と

台風シーズンも終わりかけたと思っていると超大型の台風が北上してきた。21号だ。
気象の予測もこの頃は欧州ECMWFの計算結果や米国NOAAの計算結果を図として表してくれるフリーソフト(windy)が出てきて、日本の気象庁の計算とすぐに比較できるようになってきたので、台風の進路のようなわかりやすい比較では予測を比べて見たくなる。windyでは過去の予測データは次々に消えていくのでECMWFのサイトにまだ残っているアンサンブル予想のその時のデータを掘り起こして振り返って当たっていたかどうか調べてみる。

 

T21

 

1週間くらい前の予測(14日12Z(世界標準時の12)時点の予測)では日本の気象庁の計算は台風の経路はやや北寄りに予想し福岡近くを通ると出ていた。一方欧州の計算では大分南で上陸はなしとの予測だった。現実には欧州ECMWFに近いがやや北にずれて九州の南を通り過ぎ東海・関東と上陸して駆け抜けた。
1週間前でも予測はなかなか難しい、合わないものだ。太平洋高気圧も弱まっている今頃の台風は進路を決めるかっちりとした気圧配置もなく予測が当たりにくいのも仕方がない。

 

それでも季節の予報に比べれば台風の進路予想はまだあっているというべきなのだろう。

Dankoukiyosoku

今年の春頃は この夏は全国的に高い気温となろうという気象庁の気候予測だった。確かに7月上旬は暑かったが少なくも東京はそれ以降は冷夏だった。今年の様な冷夏になる予測は地球温暖化とは逆行する感じで例え予測出来ても発表しにくいのかもしれない。ともかく気候の予測はここ10年位を見ても50%くらいしか当たらずあまり実効性のない予測になっているようだ、今のようでは使い物にならない、そんな話もどこかで聞いた。そのうち当たるようになってくるのだろう。

しかしこんなに当たらない気候予測で このままではとんでもない地球温暖化が予測される といわれても本当にそうなのか、何か見落としているところがあるのではないか、そう思いたくなるのも事実だ。荒れてきている気候を全て人為的CO2増加のせいにしてしまうのはいかにも短絡的思考のように思えてならない。アバウト過ぎる。こんなものに振り回されたくない。

 

博多地区で灯明ウオッチングというのがこの土曜(21日)に行われるというのでアクロスでのコンサートを聴きに街に出たついでに少し巡ってみた。秋には毎週のようにイベントが組まれていていかにも観光を政策の目玉にしている街のように見える。次々に繰り出せるだけ街にパワーがあるということだろう。
灯明のイベントは博多の一部で夏に300年続けられている千灯祭にちなんで20数年前から秋に博多の広い地域で大掛かりに行われるようになったようで数万個の手つくり灯明で街を照らすという形になっている。

 

Tomyo1

ローソクの炎で博多の各所に光の地上絵なども描かれるという。勿論一晩だけだが面白そうだ。 

 

 

アクロスからも歩いていける博多リバレインの付近に地上絵があるというので行ってみたがその場所が解らない。しょうがないのでリバレイン8Fにあるアジア美術館まで上がって受付で聴くとやっとわかった。行くのが難しいところもあるようだ。やっとたどり着いて見ると、面白いが思いのほかこじんまりとしている。これはやはりメインとなっている御供所地区に行ってみるほかないかと地下鉄で祇園まで足を延ばす。
降りると目の前が東長寺でここには地上絵があるはずだ、いかにも見物に来たという風情の人が門を出入りしている。人の流れに従っ

 

Tomyo4

 

て入ってみる。筑前琵琶の演奏が終わったところで人が多い。庭一面に灯明が並べられて見物人が思い思いに歩き回ってみている。明日は台風21号接近という日で雨も予想されたが幸運にも雨になっていない。紙のあんどんにローソクだから雨では全く成り立たないイベントだ。

 

 

 

写真に撮れるかもしれないとコンデジにある”手持ち夜景モード”というので写してみると思いのほかよく撮れる。条件を変えて連写して統合しているようだ、コンデジといっても全く馬鹿にできない高機能だ。
東長寺からその奥の旧御供所小学校跡地まで光の道が続き最後に大きな地上絵が現れる。よくもこんなイベントを仕掛けたと思うほどだ。市のパンフでは数万の観客が出ているというし後で見たインスタにはもう3回目だという海外からの投稿もある。結

 

Tomyo2

 

 

 

構知られてきたイベントの様だ。

   

台風が来ようが予測が外れようが、構うことなく走り続けるそんなエネルギーが流れている、そういうところが面白くてこの街がいい。

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2016年1月24日 (日)

大寒波が来て

雪が降ってYukiいる。予定通りの大寒波だ。
  ゾンデデータで高層までの大気の温度分布を見ると、如何にも南に降り
てきた大陸の寒気という姿で、高度4000m以下くらいがよく冷えている。
大陸の放射冷却で十分に冷えた重い冷気が地表に沿って吹き出し
てきたようだ。
更に上層の温度は標準大気と同じか高いくらいで、この季節にしては寒いとは言えな
16012400kousouい。

たまたま北米大陸に
寒気が南下16012303kion850hpし更に東岸を発達した低気圧が北上して日米とも寒波と暴風雪が大々的に報道されている。
しかし北米の西海岸カルフォルニアは結構暖気が入っており、全米がすべから
く寒いわけでもない。(図は2016年1月23日3時(日本時間)の上空1500m(850hp)の気温、やや濃い青が‐12℃以下の寒波。GSM計算値をDagikEarthにて表示)。
こんなに冷えてもこうなる前の暖かさや今後の暖かさから総合的には暖冬ということになるのだろう。

寒波といえば気になる北極点周りの渦の振動を表す北極振動の状況を調べると、年初めからここまでが強いマイナス、つま り極渦が弱く寒気が北極から次々に流れ出るというモードに入っている
ようだ。現実にも北極点よりもより緯度の低い所へ寒気が降りていくというまさにそのような事が起こっている。
Ao今後は北極振動の指標(AO index)はプラスに転じる予想なので今後寒波の再来は当分なくもとの暖冬の雰囲気に戻るということになるのだろう。

南の温暖化が進んで暖気と寒気の接点でできる低気圧が強力となりこれが次々に北上して北極付近に南の暖気をもたらし続け
たため極渦が弱まりもともとある北極の寒気が流れ出てくるという結果を生んだのだろう。
地球が保存系として平均気温を保とうと動いている結果のようにも思える。原因は人為的かどうか議論は分かれるにしても平均的に気温は上昇しているのは明らかである以上こんなことは来冬以降も続くのだろう。

いずれにしても福岡で雪が降ると車で出かける気がしない。4WDでスタッドレスタイヤをつけているからたいていの道は自分は大丈夫なのだが走っている他の車の信頼感がいまいちだ、スリップしてぶつかってくると逃げられない。歩行者もいつ転ぶか怖い。
こんな日は全てを受け入れてのんびりと過ごすのが一番なのだろう、のんびりし過ぎているのは否めないにしても。

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2014年8月12日 (火)

台風11号が

台風11号が北へ去った。当初の予想進路より少々東にずれた、太平洋の高気圧が僅かに弱かったようだ、高気圧の縁を丁寧に巡る台風の渦は一日見ていると飽きはしないが疲れる。(図は10日12時の衛星写真)。
1_20140810120000
予想外に東に行ったのに福岡の海岸の風は予想外に強かった。9日朝にリリースされたMSMデータ(気象庁の数値予報データ、このときはまだ豊後水道通過を予測)でも台風が離れていくのに従い博多湾の風速は昼頃には9m位に下がってくるというものだったが現実には海岸にあるヨットハーバーの計測で昼過ぎには11mと尻上がりに強くなっていた、台風を巡るスパイラルバンドと呼ばれる雲と同様風も筋状の渦巻きとなって離れていくのに強くなる(強い筋がかかってくる)ということもあるのだろうか、そこまでは予測計算が難しいのだ20140810yhtenki ろうか。陸上の風と違って海上の風は遮るものが無いだけに掛け値なしの強い風が離れていても吹いてくる。
10日に予定されていたタモリカップヨットレースも16日に日延べとなり雨模様ではひがら家の中にいることになって 気晴らしに散髪に出かけた。
このところカットオンリー1000円のチェーン店を利用しているが、店に入ると席が埋まっていて順番待ちとなる。この店では回転が速く待ったことなどあまりない。待っているとお客が次々に来て若い女性まで順番待ちに並んだ、カット屋だから女性客がいてもおかしくないのだろうか時代の移ろいを感じてしまう。安くて時間も短くそれなりの形に切ってくれる、それで十分ではないか、その価値は万人に共通であることに違いない。それにしても台風に降り込められると床屋へ行くくらいしか思いつかなくなるのも共通のようだ。

20140810seatemp 台風が来ると時間の進み方が変わってくる、家での時間が長くなって時間がゆったりするかと思えばどこかあわただしい。ひっきりなしの台風中継のためだろうかそれともめまぐるしく変わる空のせいだろうか。

台風も過ぎて見直してみると西日本の南からフィリピン付近までの短冊のような海域の温度がこのところ下がってきている、一方でウェーキ島付近の海水温はいまだ高く太平洋高気20140811sstanomaly 圧は強いままだが東へ移動した形だ、これは涼しくなる、台風も暫くは日本に近づかないようにも見える。のんびり遊ぶ季節が戻ってきたようだ。
(図は8月10日の海水温、2度ピッチ、最高は30℃、下の図は平年と比べた海水温、フィリピン東の温度が低い)。

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2014年8月 3日 (日)

台風と花火大会と

また台風が来る。エルニーニョの始まりが遅れているせいがあるのだろう。
1_v20140801170000 酷暑と雨模様が交互に続いて閉じこもりがちになってしまう、福岡・大濠公園の花火大会が2日前にあってちょうどいいと見に出かけた。台風が近くて台風12号からの南よりの風が吹いて雨が時々ぱらぱらと降りかかるもののまだ大した雨でもない、予定通り決行された。。南風ではこの地は基本的に雨が降りにくい、南の山地に低い雲がさえぎられてしまうようだ。

大濠花火大会は去年も見に行ったが車を停める場所が無くてクルマからの花火見物だった、今年もそんなものだろうと降りて見るのは半ば諦めるような気持ちでクルマで家を出た。気象台の前を通って護国神社の西を抜けてゆっくり走る。時折渋滞するのでその時は落ち着いて見れるがともかく走りながらではみづらい。1周してまた護国神社のところに差し掛かると駐車場が空いているように見える。それっと入ると奇跡的に駐車が出来る、こんなこともあるものだ。まだ半分くらい進行したところだから祭りの雰囲気は十分味わえそうだ。宇都宮にいたときも鬼怒川にかかる橋の近くで行われた花火大会に毎年のように出かけていたが殆ど車に乗ったまま橋の上で渋滞しての見物だった、Hanabi2014 車から降りて花火を見るなどここ10年は経験したことが無い。
人ごみがすごい。整理の警察官が数多く出ている、花火大会では各地で事故が起こっていて警察にとっても気の抜けないイベントなのだろう。お濠端の人の隙間に入り込んで花火を見る。水際から5m位はそれぞれに持ちよった敷物で埋め尽くされている、場所取りに早くからの努力が見える思いだ。 上がる花火は高さが低い、街中の花火なのでそれはどうしようもないことなのだろう。殆ど休みなしに2ヶ所から次々に打ち上がる。鬼怒川の花火はもう少し間があったように思う、なんとなくせわしない、福岡らしいというべきか。
花火は幾つか見ていると似たような印象がしてくるためか2-30分もすると動き始める人が多い。案外動きながら見るという見方もおかしくも無いようだ。人が出て、出店が出て、しゃべりながら、歩きながら、光と音を仰ぎ見る、やわらかい風が流れる、振り返る、その記憶全体が夏らしくて得した気分で、また行きたくなるのだろう。
終了15分前くらいに引き上げる、45万人といわれるこれだけの人数が一斉に帰り始めると歩行者の横断待ちだけで大渋滞が起こる、それに危ない。
ねぶたや竿灯を見に行ったのも今頃だ、いずれも台風や雨がかすっていた、台風も雨も夏の祭りの一部かもしれない、いかにも非日常を演出してくれる、そんな風にも思えてきた。
しかし次の台風ももう直ぐだ。非日常とのんきなことをいっていられぬかも知れぬ、直撃は勘弁して欲しいとまじめに現実と向き合わなければならない、生きていることの縮図のようだ。夏は続く。

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2013年7月26日 (金)

暑い夏が

暑さもたけなわで今年の夏は異様な感じさえする、ただしこれは西日本の暑さで東北はまだ梅雨が明けない。いったいどうしたのだろう。
暑さの方は高層までの天気図を眺めている限り中国大陸がその源だ。太平洋高気圧の名がKousoukionn ある中部太平洋はむしろ北の冷たい大気がここまで南下して涼しい気温となっている。
中国大陸の暑さの中心はどこかというとそれはチベットだ。チベットは高度が高く地面が直接太陽で加熱されるため高度の割りに気温が高くなり、この大気がこのまま高度の低い 気圧の高いところまで降りてくるととんでもない高温を生み出す。
このところ年を追って暑さが増してくるのは何故だろうと思っていて、CO2では急すぎるし局所的な説明は困難だと思いながら、ニューズウイークを何気なく読んでいるとヒマラヤの氷雪が急速に解けているという記事に出合う。また氷河消失を喧伝するCO2温暖化のあおり記事かと思えばそうではない。氷河が加速的に消えつつあるのは事実のようで、その原因としては小さな煤煙が降り注いでいるためのようだ、煤煙(スス)が目につくとある、前から指摘されていたことではあるがこうも暑い夏を経験するとこれだ と思ってしまう。
細かいススが氷河を溶かしているという話はグリーンランドの氷河消失でも主犯と疑われている。ヒマラヤでは地理的に近い中国やインドの経済活動活発化がその源と疑われるが、中国やインドに経済活動を抑制しろとは誰もいえない。かってロンドンがそうでありロスアンジェルスがそうであり東京がそうであったように経済規模が急拡大すれば公害物質はどうしても増える、これは人類の辿ってきた道だ。公害対策を徹底するよう要求してもエネルギッシュにビジネスを拡大している企業体にはなかなか聞き届けられないというのも歴史が示している、各国が対策に協力するとしても中国、インドを犯人扱いはできないだろう。

ススが絶え間なく氷の上に舞い降り太陽熱を吸収してヒマラヤの氷河は解け続けヒマラヤ高気圧は年毎に強くなって当分暑さは増していくだろう。中東では夏は45度なら涼しいというらしい、それに比べれば38度くらいでは驚くに当たらないともいえる、慣れれば人類は生きていける。数十年たてば中国、インドのエネルギー消費も一段落し公害対策もいきわたり 落ち着いてくるだろう、数十年は地球の歴史からは瞬くほどの間でもない。目くじら立てずに穏やかに受け入れれば凡そはそれで済むことだろう。

寒さの極のほうも強まっているのではないかとの兆候がある。CO2温暖化議論のような地球の平均気温が数度上がるのが大問題という時代ではもはやなくなっているようだ、平均ではなく寒さはどこでどこまでいくか暑さはどこまで行くかということが問題になる。
北極の氷が夏に大幅に解ければ暖流の北上が弱まり北極を中心とした地域の冬の低温が却って強まるという傾向が知られており近年の冬の大雪はこれが原因と思っていたが、冬の寒さが目に付くようになっているのはこればかりでもないようだ。
太陽の活動からは現在は太陽活動の弱まる時期に入ってきており、トータルとして地球の寒冷化が進行しつつあるというのもまた事実のようだ。太陽の黒点変化の11年周期がこのところ長くなっておりこの状況が300年前の太陽活動が弱く寒冷な時代となったマウンダー極小期のはじまりに類似していることから、今後太陽の活動が弱まり地球は寒冷化していくのではないかと疑われている。万年単位の周期の長いスパンの変動でも温暖な時代は終わり次の氷河期に向かっている時期であることも間違いないようだ。

幾つかの現象を考えると温暖化と寒冷化が同時に起こっており冬はますます寒く夏はますます暑くというのが現在の状況の素直な解釈のように思えてならない。夏と冬の境目では強力な寒気と強力な暖気がぶつかり激しい気象が生じることになる。こういうものだと思って大雨も激しい雷雨も竜巻もやり過ごさねばならないのだろう。そういう時代に生きているのだと受け入れるべきなのだろう。

これから1億年は続くと思われる人類の時代には1万2千年から2万年ごとの氷河期も周期的に何千回と経験していくだろう、地球と太陽の運動に支配された長周期の気候の波動を経験していくだろう、それを思えばこのくらいの揺らぎは人類が今後経験する変動の走りを見せてくれているようで未来の人類との経験の共有を与えてくれているようで好ましささえも覚えてくる。
暑い日は冷房の効いた部屋でこんなことにのんびり考えを遊ばせるのも夏らしくていい。

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2012年9月 7日 (金)

デレチョという気象現象が

デレチョ(Derecho)という気象現象が少し気になっている。
米国で開発が進められている新航空管制システムNEXTGENが完成すれば 気象情報を適切に共有でき 6月29日に発生したデレチョのような過激な気象も含めて気象による航空交通への年間270億ドルにも及ぶ損害の2/3は回避できることになるだろう、との記事にたまたま行き当たったことがきっかけだ。NEXTGENがそんなにうまく機能するだろうか、そもそもデレチョとは何か。少し調べてみる。デレチョという言い方は米国特有の表現のようだ。レーダーエコーで発達したボウエコー(弓状エコー)を米国ではこう呼ぶとwikipediaにある。発達した積乱雲Derecho が弓状になってレーダーエコーに特徴的な形を現していることになる。幾つかのサイトを読んでいくと次第に分かってくる。
年に1-2回発生するだけと記されており最近では6月29日夜にワシントンDCを駆け抜けた。ワシントンDCダレス空港の6月29日のMETARデータを読み出してみる。ひとことでいえば巨大な雷雲前線といっていい。五大湖南の内陸部Derecho2 で発生して一気に東海岸まで走り抜ける。雷雲前線の背後で起こるダウンバーストによる強風がものすごく 渦をまかないハリケーンという表現もあるくらいだ。この日は平均で22m/s、ガスト(瞬間最大)で31.4m/sまで吹いている。ダウンバーストに押されるように雷雲前線は東に駆け抜ける。すぐ北側をジェット気流が東西に走っており 上層の気流に近い速度でダウンバーストの風が雷雲前線を押すことによって低層から高層までの循環パターンを保ったまま東に走り抜けるようだ。この日は非常に暑い日でワシントンでは日中40℃にも達していた。北の大気との境界となるカナダ国境線付近で積乱雲が巨大に成長しジェット気流のラインに沿って走り始めている。GPV予測では雷雲の可能性を示すショワルター指数は-4.0とボーダーであるゼロを大きく割り込んでいる、宇都宮辺りでも-3を下回る数字は見たことがない。強度の不安定だ。
3日前の宇都宮の雷雲前線と較べるとその強さは際立っている。宇都宮の雷雲前線はやはり通過と共に気圧がやや上がり強風が吹き出しているがワシントンの場合より気圧の上がり方は1/5位で風も瞬間最大で15m/sほどだ、風のエネルギーでは4-5倍違う。雨が強いのが宇都宮の特徴だがダウンバーストが強いと雨どころではないのかもしれない。こんなのが通れば航空網は大混乱になる、飛ぶに飛べず降りるに降りれずとなる。
アメリカの気象はマクロは単純なところがあるがローカルには竜巻といいデレチョといい とんでもないことが起こっているようだ。自分の身は自分で守るしかない、いざというときは誰にも頼ることはできない、そんな精神もこの風土から生まれてくるのだろうか、アメリカを形作る精神も結局は地球に支配されているのだろうか、色々考えてしまう。

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