2023年8月 2日 (水)

今年の芥川賞、市川沙央の「ハンチバック」を読む

7月19日に芥川賞受賞の発Hanchbackx1 表のニュースを見て直ぐこれは読まねばと、図書館に掲載誌;文学界5月号を予約した。単行本もすでに出ているがこちらは予約順番が200人以上で当分回ってこない、文学界の方は数人待ちですぐにも廻って来そうだ。7月27日に近くの館に届いたとネットで表示があり早速借り出した。文学界のページ数で28ページと短いのであっという間に読めそうな気がしたが、読み始めると文体が凝っていたり知らない世界の内側の描写ということもあって思ったより読了に時間がかかる。
テレビ報道で見た本人の重度障碍者の姿からはこの濃い文体の文章を描き出していく様が容易くは浮かばない、しかし明らかにこの受賞はハンディがある下駄をはいた受賞ではない、読めばすぐわかる、新しい視点・時代を切り開いている、どう見ても受賞にふさわしい作品で力量も十分感じさせる。あらゆる文には書き手がいる、そこを仕事とするこの作品の障碍者の姿はどう見ても作者本人の姿だ。話の展開には創作が骨になっているのだろうがディテールは本人の実体験と思える、重度障碍者のリアルな視点がこんななのかと新鮮な思いに包まれる。エロ雑文書きのアルバイトをするというのも作者の実体験が入っているように思えてくる、そうでなかったとしてもそう思わせる筆致がある。不思議な世の中になった、障碍者がネットを駆使して稼ぎながら生きていける世界。重度の障碍者の視点というものが重くもあるが新鮮だ。確かにこれは芥川賞だ、自らが時代を切り開いている姿がここにある。

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2023年7月19日 (水)

「西洋哲学の根源」を放送大学で学んでみる

要するにギリシア哲学のことだが、大学の頃はギリシア哲学の研究会というのがあってちょっと小うるさそうな思い込みの強い人達が集まっているようでどこかうさん臭さを感じていたことをGirisyatetugaku 思い出していた。放送大学の講義選択は前回は量子物理、その前は人体の構造機能と理学系が続いたのでここらで文系をという感じもあった、そのくらいが学び始める時の気持ちではあった。
15回の講義も終わり試験も終わって一体これは何なんだろうと振り返ってみている。そもそも何故紀元前6世紀頃からこんな形で哲学が始まったのか、というところから気になる。そこは結局はっきりしない。タレスが万物の始原は水だと言ったあたりから哲学らしい主張が現れだしたようではあるが、基本はこの世界はどうなっているのか、我々は何者なのか、どこへ向かっているのか、を何としても明らかにしたいという心なのだろう。
何故古代日本ではそんなことを考えてそれが系譜になるということがなかったのだろうか。書き残す文字がなかったということだけなのだろうか。そうかもしれない、どこでもそんなことを考える人はいそうではある。
地球については紀元前6世紀前半のアナクシマンドロスは円筒形としたことは講義で示されるが、球体と言い出したのはどのあたりからなのかの話はない。調べると少なくも前5世紀にはパルメデスやピュタゴラス派は球体であると明らかに主張しているようではある。学び終わってギリシャ哲学では地動説までにはたどり着けず地球が宇宙の中心にあるという認識だったように思っていたがこれも調べると前3世紀頃イオニアのアリスタルコスが惑星の見かけの運動を説明するには地球と惑星が太陽の周りをまわっているとすると可成り精度よく(数学的に)説明できる、としたようで、のちにガリレオが地動説を唱えた時にもアリスタルコスの説を知っていたともいわれているようだ。一体暗黒の中世は人類に何をしてくれたのだろうと思ってしまう。また、原子論は紀元前5世紀にデモクリトスらにより唱えられ確固たる唯物的な主張として当時認められていたようでもある。無神論ではなく神も原子でできているとしていたのにはちょっと驚くが、徹底しているというべきなのだろう。現代の世界観のあらかたはギリシア哲学に源があるといって間違いはないようだ、確かに驚くべきことだ。
確かにこれは知っておくべき歴史的知識の様だ、前にも書いたがチャットGPTが答える回答はこの紀元前のギリシア哲学の時代ドクサと呼ばれたいわゆる通説、通念というもので(これはチャットGPTに聞いてもその通りという答えが返ってくるのだが)、このドクサの評価もプラトンとイソクラテスなどのソフィストでは評価が分かれていた。プラトンはドクサではなく真の知識エピステーメーを探求すべしといったがイソクラテスは知者はドクサで大抵は最善のものを狙いあてる、とドクサの有用性を主張していた。同じ議論が今また繰り返されそうに思えている。
講義も試験も終わったが、何だか入り口にやっとたどり着いた気がしている。深めていくには時間が足りない、そればかりが気になる今日この頃だ。

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2023年6月18日 (日)

ギリシア哲学がチャットGPTとつながっていたり

ギリシャ哲学を放送大学で学んでいる。量子物理で時々ギリシア哲学というフレーズが出てきて、西洋のものの見方の根源にギリシア哲学が未だに厳然として存在し続けているのではないかとの感があって、今回とってみることにした。
始めてみると、暫くは何だか大昔の考え方を見直しているだけかな、との気がしていたが、最近の講義で知に対する考え方を聴いて、何やら現代的な認識に直結しているなこれは、と思うところがあった、学んでよかったともいえる。
知に対しては、人間は実は何も知らない、本来の知、もしくは知のイディアを直接認識することは容易ではなくて、知の様なドクサ、即ち通念が人間社会でやり取りされるだけだ、という考え方に収斂していったように見える。あっと思った、今ホットな話題となりつつあるチャットGPTのもたらすものがまさにこのドクサだ、通Alisteles 念としての知識を整理して次々に答えてくる、それが便利だとも危険だともする議論が喧しい。もう紀元前4世紀にギリシアではここに行き当たっていたのだ、その時日本はやっと弥生時代に入れたかというあたりなのに。まぶしい。
調べるとギリシア哲学者がアレクサンダー大王と関わっていたというのも興味深い、例えばアリストテレスは大王の家庭教師であり、またすべてを疑う懐疑主義哲学のピュロンは大王の東征に参加してインドの修行者に出会ったりもしたという、ギリシア哲学がリアルに歴史を動かしていたようにも見える。ちょっとした興味で学び始めてみたがもう少しこの世界に漂ってみたい気がしている。

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2022年6月17日 (金)

パソコンG570のファンを交換

パソコンLenovoG570の不調が続いていた、ビープ音が起動時になり続く、時々キーボードエラーが起こる、キーボードを換えてもまただ。キーボード交換の時によく見ると冷却ファンが回っていないように見える、そういえばだいぶ前からファンは異音を発しこのところは動作音もしなくなっていた、直ぐに発注するがまた中国からの配送で2週間はかかりそうだ。届くまではダイソー調達の小型扇風機で風をパソコンに当て続けて動かす。やっと到着して早速交換する。発送元は香港で10日足らずで到着している、中国本土からよりは少しは早いようだ。久しぶりの静かなファンだ。まともになった、と思っていたら、起動でまたビープ音が鳴る。色々やってみるとCtrlとAltキーを交互に押したり同時に押したりしていG570kyboad0617a じっているとビープ音がそのうち止まるようだと気づく。そうとわかればあまり気にすることもなくなってきた。でもやはり気にはなる。ビープ音が鳴るのはメモリーの接触が悪いかもとも思い直し、そういえば以前「メモリーがReadになりませんでした」エラーの時「Windows メモリ診断」を実行するとよくなったことを思い出して以前のブログを読み直しながらこれをやってみた。
結果的にこれが効いたようでこれ以降起動時のビープ音はしなくなった、何故かキーボードエラーも無くなった。何でハードのトラブルが診断だけで解決するのかいまだに疑問だがとにかく直ればいい。ファン交換で静かに心地よく動いていてひとまず今回のトラブルは終了だ、まだまだこのパソコンを使っていこうという気になっている。

トラブルを思い返していくと結局はファンが壊れたまま暫く使っていたことが引き金で色々なことが起こってきたような気がしている。ファンが変な音を出し始めたらすぐに部品調達をかけるのが賢明のようだ。壊れたものは修理すればいい、またそういう時代になってきたような気がしている。

少しは知恵が増えた。トラブルも解決すればいい思い出となる。

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2022年5月17日 (火)

「三行で撃つ」を読む

ブログを書いているとどうしても文章が気になる。一時は色々小説家の文を読んでみたが、このところ集中力が衰えてきたせいか、あまり読まなくなった。雑誌の広告で三行で撃つという、今様の文章の書き方の本があるようなのを知って、買おうかと思ったが、安くもないのでまずは図書館に予約を入れた。福岡市全部の図書館の蔵書が計2冊しかなく待ち行列が10名以上あってこれは気長に待っているほかないかとひたすら待っていた。10日ほど前にようやく順番が回ってきて借り出して読み始Sancyou めた。
期待したほどの内容でもなく、およそ当たり前のことが出ていてちょっとがっかりだったが、幾つかはそうかと思うようなこともあった。例えば語彙の増やし方だ。パソコン上で動くデジタル辞書を幾つか持つべきだというのだ。言い回しの発想をそこから得ていくというのが主な使い方のようだ。お勧めは日本語シソーラス 類語検索辞典というのだが、調べると1.3万円くらいする、これは高い。考え方だけもらって自分に合った方法を考えればいいか、そんなことを思っている。
どうも考えている文章が著者の想定しているものとは大分ずれているような気がしてきて、最後まで読み終える気力がなくなって途中で止めてしまった。全部付き合って読破する、そんな本でもない。

文章を書くという世界は、当然ながら一筋縄ではいかない、でも工夫はし続けるべきだ、今はそう感じている。

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2020年6月25日 (木)

冷蔵庫の水漏れが

 

Gr40gb もう買って14年位経つ冷蔵庫だが、しばらく前から野菜室の裏が凍りついて霜取りの水が流れて行かず溜まってしばしば水浸しになり手を焼いていた。東芝GR-40GBという冷蔵庫だ。
例によってネットの書き込みを調べると似たような例が幾つか見つかる、水が出るというと野菜室の裏と決まっているようだ。修理を頼んだ人の話として、やってきた修理の人が、氷を徹底して取り除くとともに内蔵されているマイコンのソフトバグだといってバグを修正して帰っていった、といった内容の書き込みがあって気になった。ソフトバグが絡むのであれば修理を頼むしかないかとネットからサービスに修理依頼をすると暫くたって訪問修理を担当するところから電話がある。申し訳なさそうな口調で、断熱材の経年劣化と思われ霜取りして出た水が野菜室の裏のあたりで凍り始めると出口をふさいで水が出るようになる、氷をとることはやるが根本修理はできない、自分で氷をとるのとさほど違わないが訪問すると費用を請求せざるを得なくなる、やりますか?というのだ。マイコンのバグという話では無いともいう。直らないのじゃしょうがないとキャンセルすることにするが、使い続ける方法は何かないかと聞くと、野菜室の下面に薄く布巾を敷いて水を吸い取らせるといいと言っているお客さんがあります、結構それでいいようです、と教えてくれる。布巾で吸いとるとはいかにもその場しのぎでちょっと落胆したが、依頼はキャンセルして、やれるだけやってみることにする。

ドライヤーやらお湯やらで 兎に角 野菜室の後ろについた氷を溶かせるだけとかして、布巾を敷く。
しばらく様子を見てみるとこれが予想外に有効で吸い取った水が氷るだけで野菜室内の浸水といったことにはならない、十分機能した現実的な対策だった。ただ、しばらくたつとやはり野菜室裏の氷はでき始めるが、対策しないときよりずっと緩やかなペースで済むし水浸しは結構氷が大きくなっても起こらない。気が向いたら氷を解かすくらいののんびりペースで済む。色んな知恵があるものだ、日本もまだ捨てたものではない。

こんな時代だ、助け合いながら物はなるべく自分で修理するか工夫して使い続ける、そんな新しい生活様式が、言われるまでもなくあるべき生活のような気がしてきた。

 

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2020年4月23日 (木)

「アフガン・緑の大地計画」を読む

 

コロナ騒ぎで近くの市立図書館の分館も閉館になってしまって2週間前くらいたつ。手持ち無沙汰の日々が続いている。
勿論家にいてもやることはいくらでもある。時々料理を手伝ったり、家や庭の手入れをしたりが大半ではある
。 庭の松の剪定は眼も大体よくなったのでまた続けているがなかなか終えられない、伸びすぎだ、結構疲れる、合間にやはり本を読んでいる。

Afgan1 図書館から借り出してきていた本は暫く返さなくてもよくなったのでのんびり読んでいるがその中に非業の死を遂げた中村哲の「アフガン・緑の大地計画」というのがあって少々圧倒される。
市立図書館の中村哲の著作の中でもこの本は人気が高く3ヵ月くらい順番待ちしてやっと貸し出し順が周ってきた本だ。ちょうど貸し出しとなった翌日から突然のコロナ閉館となって、普通は2週間の返却期限のところが6週間も借りられることになりゆっくりと読んでいる。
読みやすい本だ。医療支援の記載は一切なくて治水工事の全容の記述に徹している。実行された事業を細かな数値や写真や表を用いて報告書として書いたもので、今後も具体的に作業を進めるにあたっての便利な手引き書として役立つように書いたとしている、実用書といってもいい。著者が土木工事の実際の専門的手順を自ら学びこれに江戸時代の治水技術の粋といってもいい筑後川山田堰の調査研究を加えて洪水と干ばつを繰り返すアフガンの河に適した治水工事を設計、施工指導している。医術ではもはやできない、水を引き大地を変えるという治療を、計画を立て図面を引き資金を集め多くの現地の人を動かし時には自らブルトーザを動かして実現している。それがリアルな写真と数表で示される。驚くべき本だ。人気が高いわけだ。
その役割がたとえ巡ってきたとしても自分にはこんなことはできなかったな、と生き方を振り返ってしまう、その馬力と頭脳に脱帽してしまう。

山田堰もこれは見てみなくてはいけない。外出自粛の折そうポンポンと見に出かけられないが折を見て訪れてみAfgan2 よう、せっかく福岡にいるのだから。

 

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2019年12月19日 (木)

あの中村哲の著作を読んでみる

少し前のことになるが郵便局にちょっとした用事があって窓口処理を待っている間に据え付けのテレビを見ていたらアフガニスタンで中村哲さんが銃撃された、命には別条ない模様という速報が流れている。ペシャワール会のあの中村さんが、とは思うが弾は当たったものの命は大丈夫そうなら大したことはないのだろう、危ないところだから色々あるだろう、と思っていた。 
夜になると突然亡くなったという報になる。戦闘用の銃で撃たれてはやはりただでは済まない。いたましい。テレビでは中村さんの建設していた水路とこれによる広大な緑化の映像が繰り返し流される。
悪い水は医学では治せないので井戸を掘ったというところがストレートに入る。ウダウダいわずに行動する人だ。
とにかく著作を一冊読んでみようと何冊か図書館に予約を入れていたら「医は国境を越えて」という本がまず借りられた。とにかく読み始める。
Nakamuratetsu11219 読み始めると文章がしっかりしているのがすぐわかる。本質的に言うべき言葉をズバッと書いてくる。
報じられている灌漑事業に印象付けられていたがこの本はその始まる前の医療活動の有様を延々と描いている、こちらもかなりな話だった、驚いてしまう。
始まりはパミール高原への日本の登山隊に随行する医師という形からだ。現地に医療支援が必要なことを強く感じ次にはキリスト教の活動の一環で教区が派遣する医師としてパキスタンに赴くという形をとる。圧倒的なイスラム教の中でミッション病院という明らかなキリスト教系の医療機関が機能できるところに意外性がある。勿論布教活動は一切できないが、宗教のことは言ってられないくらいに医療が貧困な現地の状況が伝わってくる。
更に欧州からの医療支援がイギリス系とドイツ系、ベルギー系に分かれていがみ合い、またアフガン人を嫌うパキスタン人という構図もこれに加わって、戦争がなくとも穏やかではない要素に満ちた空間に中村医師は日本人としてほぼ単身で乗り込んでいくというところから始まる、並大抵ではなさがすごい。あまりのすさまじさに、このいがみあいで命を落とすかもしれないと述解しているところがある(p282)、これが書かれた1999年末の段階でそうだったのだから今回の様な悲劇的事件はいずれは起こるものと覚悟していた様に思われる。
読みやすい本ではない、思いがほとばしっているようでクールな本ではない。映像で伝えられるより遥かに激しい気性の人のようにも思える、そうでなければこんな場に30年以上も居続け驚くような結果を残すことなどできないだろう。
人間の歴史そのものを見るような気がしている、印象的な著作だった。こんな著作をもう何冊も書き上げている、そのエネルギーにも感心してしまう。
もうすこし彼の本を読んでみよう。

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2019年8月26日 (月)

アムンゼンの南極点征服を読む

 

厳しい暑さが続いたかと思えば雨ばかりの日々となってこの2か月余り出かけることがめっきり減った。更にはこのところ左ひざを痛めたのもあっていや増しに動きが鈍っている。こちらは医者に見せると変形性膝関節症ではないかという、そうかなあ、と疑ってみるが所詮痛み止めをAmunzen 貼るだけだ、自然治癒を待つ他ないようだ。
とにかく家に居てばかりの日が続く。暇つぶしに本でもとここ数日はアムンゼンの南極点征服の手記を読んでいた。1911年12月14日に人類初の南極点到達を成し遂げたその時の記録だ。
南極は行ってみたいところの一つだが費用も時間もかかってエイッと出かける踏ん切りもつかない。なんとなく時が過ぎてしまっている内に体が次第に動かなくなってきて近頃はもう南極はとても無理かなとの気がしている。100年以上前によくぞ南極点まで到達できたものだとの想いがあって読み始めた。
読むと相当の冒険だったのがよくわかるが計画や装備が寒さやエスキモーの知恵をよく吸収していたノルエーのチームだったからこそできたという実態が伝わってくる。リアリティがある。同時期に南極点に向かった英国のスコットとは随分と心構えが違うようだ、あちらは軍人で国の威信を背負っていたようだがこちらの方が随分ナチュラルだ。
アムンゼン隊の極点に向けての移動手段は犬ぞりとスキーがそのすべてだ。スコット隊は馬を使っていたが極地で馬が耐えられるはずがなく装備もちぐはぐで誤算続きだったようだ。
スキーはノルディックスキーという言葉があるくらいでノルエー人にとっては幼い頃から慣れ親しんだお手の物の移動手段でこれに100匹を越えるエスキモー犬を準備して南極に向かっているのはこの時代としてはベストの組み合わせと思える。防寒用装備もエスキモーの知恵に従っている。
それでも大変な行程だったようだ。まずは果てしなく続くクレバスに何度も落ちながらかろうじて切り抜けている、よくぞ神経が持ったと思う。スコット隊は1908年に英国のシャクルトン隊が南極点まで180kmのところまで迫ったときに使ったルートを使用していたがノルウエー隊は直線距離で短い新しいルートを使っていた、それだけに未知の困難も多かったようだ。
そもそも両隊とも当然のように南極で越冬した後に極点に向けて出発しているところからすごい。十分な準備の荷物と探検隊を降ろした後、船は南極をいったん離れている。後戻りできない冒険だったようだ。極点近くは標高3500m近い高地になっていて立派な山もある大陸という景観だということもちょっとした驚きだ、もっとだらーとした陸地かと思っていたが起伏に満ちているようだ。よくもこんな所をと思ってしまう。緯度測定は基本的に太陽の高度を図る天測航法だ、これで往復で95日かけて直線で計2500kmの距離を移動しえたということになる、驚くべき探検行だ。
途中でエスキモー犬をいくらか食べながらも進んだことが普通に書かれている、それも計画のうちだったようだ。そういうギリギリの探検行を平然とやれる精神がこんな旅には必要なのかもしれない。現代ではむしろもうできない旅なのだろう。

緩み切った生活を送っているとこんな記録には刺激を受ける。今からその10000分の1でもできることがあるのだろうか、そうも思ってしまう。

ありのままに生きていくしかない、そうなのだろう。また夏が終わっていく。

 

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2019年1月19日 (土)

腕時計の電池交換その2

腕時計の電池交換が思いのほか簡単に低費用で自分でできたことに味をしめて、片っ端から動かなくなった時計を見つけては電池交換している。

中には裏蓋が開きにくいのがあって、どこかでもらったAIRBUSの宣伝用の時計に手こずってしまった。裏蓋全体がネジになっている形式でスクリュー方式と呼ばれているらしい。本来は専用工具を使うのだろうが、とにかく回せばいいだけなのでドライバー2本でやってみたり、ネットに出ていたカラーボールを押し当てる方法も試してみたりす

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るが固くて歯が立たない。ネットで探していくと腕時計用のcase openerという腕時計用のまさにこのための工具がたったの199円送料込みで売っている。
書き込みでは十分役に立ったと幾つもあるので半信半疑で発注する。到着まで10日くらい掛かることになっているので見るとchina postで送られてくることになっている。中国本土から直接くるようだ、それにしても送料は数十円位しかしないことになるのだろう、すざましい世の中になった。結局ほぼ予定通り11日後に配達された。袋の伝票を見ると出荷は大連市となっている。国際郵便でそのまま送られている。
ともかくこれを使って裏蓋開けにかかる。時計本体の固定は左手を使って水道レンチで鷲掴みにしておいて、右手でcase openerを2箇所の溝に当てて思いっきり回すと

Denchi3

あっけなく開いた。見るからにチャチな道具だったがちゃんと役に立つ、書き込みの通りだ。
中の電池はRENATA397とある。こんな名前のつけ方は見たことがない。調べるとスイス製らしい、互換品があってSR726SWとなっている、すぐにヨドバシに発注すると翌日には届くようだ。200円もしないし送料無料だ。
翌日届いた電池を入れると無事動き出した。ベルトもボロボロになっていたのでダイソーの100円の替えベルトを取り付ける。たちまち生きた時計が蘇る。本当に安く仕上がるのには驚くばかりだ、デフレというべきか。

Denchi1

次は婦人用のOPEXの腕時計の電池交換にはいる。簡単に裏蓋が開いて電池はと見るとSR626SWだ、この前替えた紳士用の大きめの時計と同じだ。どうも婦人用の機械部分を紳士用でも流用して使っているようだ。そんなこともあってブランド風の時計はどうやらこの電池が主流のようだ。
それにしても探せば動かなくなった時計が身近にボロボロ見つかる。こんなことから現代という不思議な時代を感じるのが面白い。

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