今年の紅葉を受け入れる
今年のもみじは寒暖差が大きくていいと、もっともらしい解説をしたり顔でするテレビが多くて、ついそうかもしれないと思ってしまう。紅葉の良しあしはそんな単純なことでもないような気がする、寒暖差が大きくても雨もそれに合わせて降ればそのまま枯れてしまうことも多いのではと思うし、見ごろの頃に秋晴れの日が多ければ綺麗に見える日が多くて今年は特別と思ってしまうのかもしれない。
いいといわれてその気で見ればいいところだけが頭に残ってやっぱりだと思ってしまうそんなこともあるのだろう。
今年も紅葉のシーズンになり、ツアー旅行で11月17・18と山陰を巡ったが山の紅葉が車窓からも印象に残った、福岡のこのあたりもそろそろかと少し出てみた。ゆっくり構えて時を逃すと散ってしまう。
春日公園というのが春日市にあって11月21日にここをまずは見に行った、春日なる三笠の山にいでし月かも と阿倍仲麻呂が詠んだ春日はこのあたりの春日であるという説もある福岡の春日だ。太宰府そばの秀峰宝満山の古い名称は みかさ山で、船が博多を離れる時に洋上から三笠山にかかる月が印象的に見えるという、遣唐使船の船出でもこんな光景があったはずでそれを思って詠んだ歌ではないかというのだ、奈良のみかさ山は低くてとても月がかかる光景を見ることはできないらしい。そういうことかもしれない。
春日は近年では米占領軍の基地・住宅地(春日ベース)があったところでもある、その跡地の一部が公園化したのが春日公園ということで、広々としている。木々の種類もいろいろあり野鳥も渡りの中継地に利用するようでノゴマやヤツガシラ、キバラガラのような珍しい鳥が見られる時もある。紅葉もいい。
勿論全面紅葉はないが、桜を含め様々な落葉樹があって紅葉や黄葉が美しい。
自宅近くの公園のイチョウもいい色になって、そういえば最近改装されて綺麗になった近くの高宮南緑地(旧貝島邸住宅の庭)もカエデの木がたくさん植えられていたのを思い出していいのではないか、と11月24日に見に行ってみた。貝島家は麻生、安川とともに筑豊御三家とよばれ炭鉱が意気盛んな時代を謳歌していたがここはその頃に造られた戦前大正期の住宅だ。庭を覗いてみるとちょっとがっかりだ、大半のカエデはまだ青々している、ここらの紅葉は12月のように見える。自宅カエデも今年はあまりよくないので、12月になっても期待できないのかもしれないが。
低山のもみじはどうだろうと近くの油山中腹の油山市民の森にも11 月25日に行って標高250-350mの周回路を歩いてみる。周回路の途中で標高のやや高目のもみじ谷では殆どを占めるイロハカエデは散ってしまっていてウリハダカエデが僅かに残っているだけだが、やや低いキャンプ場あたりは結構イロハカエデのグラデーションが綺麗だ。動いている季節を感じる。廻っているとベニマシコらしい姿も見えるが写真にはうまく撮れない。ここも現代風に楽しく利用
できるようにと改修工事が始まりつつあって、野鳥の数も一時的には減っていったり紅葉も造園のように更に作られた紅葉になっていくのかもしれない。しょうがないことなのだろう。人間も自然の一部なのだから。
九州ではなかなかいい紅葉に遭遇しない、常緑樹の多い九州の森の紅葉がいまひとつなのはどうしようもないことだしそれが自然の定めということもできる。そのままを受けとめればいいだけのことなのだろう。
写真は上から 1.出雲から南下する高速道にて(11/18) 2.三次の道路わきの紅葉(11/18) 3.春日公園の紅葉とハシブトガラス(11/21) 4.旧貝島邸庭園の青いカエデ(11/24) 5.油山市民の森キャンプ場付近の紅葉(11/25) 6.同もみじ谷のウリハダカエデ紅葉