シーララのピアノとトルソフのバイオリンに圧倒される
暑い日が続く。こんな時は室内でコンサートを楽しむのがいいかな、と日曜の午後3時からのアクロスのコンサートに出かけた。アクロス福岡が主催する若手演奏家育成のためのセミナーに指導者として海外から招かれている一流ソリストによるコンサートだ。均一料金、席は自由というのもホールでのクラシックコンサートとしては珍しい、随分気楽に聴けて申し訳ないくらいだ。日曜の午後の天神ということで駐車場が懸念されたがいつもの天神中央公園地下の駐車場は満表示ではあるものの普通に入れて問題なく駐車できた、これも気楽だ。
入場に長い列ができていてちょっと驚いたがゲートはやや早めに開かれ前よりの中央といういい場所に座れた。自由席というのも悪くない。
シ-ララのピアノ独奏から始まる。シ-ララという人は去年の夏九響との共演のコ
ンサートで聴いてこれはうまい人だとの印象を持っていた、フィンランド生まれ今はドイツで活躍しているようだ、46歳。この日の演奏はシューベルトのピアノソナタ第16番とある、解説を読むとシューベルトは16曲ピアノソナタをつくった(つくろうとした)が完成したのは7曲しかなかった、これがその最後のピアノソナタということになるようだ、作曲という作業も生易しいものではないと改めて感じる。シューベルトのピアノが響く曲としては歌曲集冬の旅がどうしても頭に浮かぶ。演奏が始まると暫くは冬の旅のどこかに出てきそうな旋律がゆるやかに流れる、調べるとこちらが2年程早く作られている、そんなものかと聞いて3楽章4楽章のアレグロに至ると音の塊のようにメロディーが折り重なって響き渡るそれをシーララの指がホールの空気すべてを振動させるように見事に弾き続ける、聴きながらホールの空間を見てしまう、そこに音が見えるような気さえしてしまう。さすがだ。
万雷の拍手に、次のドビッシー の喜びの曲の演奏が準備されたアンコールのように思えてしまう、これも随分とテクニカルな曲だ、技が光る。
休憩をはさんでトルソフのバイオリンに移る、ピアノ伴奏は木口雄人があたる。キリル・トルソフの名は知らなかったが欧州で活躍しいくつかの国際コンクールの審査もつとめているようだ。ロシア生まれ、43歳、ドイツ拠点に活動とある。
ベートーヴェンヴァイオリンソナタ第5番からはいるがベートーヴェンの音を伸ばす曲の作り方が今聴いたばかりのの迫りくるピアノ曲と際立っていて、なんだか落ち着く。楽譜は電子版になっていて足で踏んでページめくりするようでそのしぐさがちょっと目新しい、今はこうなってしまったのだ、ピアノの楽譜捲り担当もいない。拍手喝采の後3曲を演奏、マイクなしで観客に語り掛けたりする、対話しながら客の望む曲を巧みに奏でるというスタイルが好みのようで、生まれついての「バイオリン弾き」のように見えてしまう、とにかく技巧には押されてしまう。ツゴイネルワイゼンのあとアンコールでチャルダッシュを演じる、このあたりいかにもと面目躍如の感ある。圧倒される。
いいコンサートだった、列に並んで久しぶりのひらおのてんぷらを食べながら、思っていた、こういう生活をずっと続けたいが、終わりがみえてきているのかもしれない。


















