2025年10月20日 (月)

「ボーイング強欲の代償」という本を読んでみる

2018年から2019年に起きた、どうみてもボーイングに責任のある737MAXの連続墜落事故のその後の成り行きがなんとなく気になっていた。去年の年末に出された「ボーイング強欲の代償ー連続墜落事故の闇を追う」という本が目に留まって図書館へ借り出し予約を入れたが人気のようでやっと今月初めに貸し出し順が回ってきて読んでみた。
要するに一世を風靡した感のあったジャックウBoeinggouyoku ェルチの経営手法を体得したGE出身の経営者達がボーイングに持ち込んだ株主資本主義の考え方が諸悪の根源にあるというのだ。
確かにGE流の経営はいびつなところがあるのだろう、でもそれが資本主義だ、資本主義社会では受け入れられる経営だ。事故をそれが原因だと非難することはそのような資本主義体制が悪いのだ社会体制を変えろというにほぼ等しい、政治的な視点だ。航空機が落ちるのはもっと技術的な理由が先にある、そこを深堀りできないこの筆者の議論はどうしても上滑りではないかと思ってしまう。
似たような経緯の事故として1960年代にTtail形態の旅客機(BAC111)の試験機が失速時にリアエンジンの後流に水平尾翼が入り安定操縦性が失われてディープストールで墜落した件が思い起こされる。その後も長年航空界はTtailを使ってきた。どうにかすれば危険は回避される、そのどうにかに知恵を絞ってきた、それが航空機の世界のように思う。手だての一つが失速に入りそうになると強制的に頭下げ操作を行うスティックプッシャーだった。今回の737MAXの墜落の原因となったMACSの失速防止でやっていることがスティックプッシャーがやっていることとほぼ同等だ。スティックプッシャーで失速を免れるそのこと自体はそれほどおかしいことではない。問題は一個の迎角センサーしか使わず単一故障でカタストロフィックな結果をもたらされないという冗長系設計の原則がこの場合なされていなかった、それが見過ごされていたというところにある。設計管理システムに過誤があった、ということになる,それがなぜチェックにかからなかったか、という点にある。もしそれが意図的にチェックにかからないようにされていたとするならこれは明らかに犯罪行為だ。それが最初に議論すべき点のように思える。そのような行為をどう防止できるかが必要な考察なのだろう。犯罪者が悪いというより株主資本主義が悪いのだとはなから言い張るようなロジックをこの本の書きっぷりに感じてしまう。読後感がどうにもよくない。こんな本もある。

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2025年6月21日 (土)

エア・インディア171便の墜落

6月12日、インドで離陸直後のボーイング787-8が墜落した。またボーイングとの感もあるが787は就航以来14年、初めての墜落事故で事故後1週間たった現在でも事故原因のおよそのところも明らかになってこない。
墜落事故の概要は以下の通り
2025年6月12日(木)現地時間12日13時38分 (世界標準時UTCで12日8時8分) (IST India Standard Time =UTC/GMT +5:30 hours)インド西部のアーメダバAirindia171 ード国際空港滑走路23を英国ガトウイック空港に向けて出発したエアインディアのAI171便(ボーイング787-8)が離陸後約30秒で墜落炎上し搭乗していた242名(乗客230名、乗員12名)のうち241名が死亡した。乗客1名は奇跡的に大きなけがもなく生存。地上では巻き添えとなった死者が33名出ている模様。ボイスレコーダとフライトレコーダは現場から回収され解析中。(写真はwikipediaより)
現地気象条件はUTC12日8時のMETAR(本空港)で 120800Z 25007KT 6000 NSC 37/16 Q1001 NOSIG と風はほぼ正面から7kt(3.5m/s)、視程6km 、雲なし,気温37℃露点16℃、気圧1001hp で飛行には問題ない状態だったが気温は結構高い。
滑走路は1本で05/23,長さ3,505 m (11,499 ft)、標高58m。
機体はボーイング787-8、座席数256(C18、Y238)で90%の搭乗とほぼ満席の状態。
製造のラインナンバーは26で比較的初めの頃の機体(機体重量がまだ下げ切っていない頃の機体と思われる)2013年末製造で11年くらい運航に供されている模様。
離陸時のビデオ映像が公開されていてそれをみると滑走路端一杯で離陸、浮上したものの脚は上げないで無理に高度を上げ失速したようにマッシュ状に降下している。
アーメダバード国際空港からガトウイック空港までは直線距離で3704nm(6859km)で西行きの飛行であり向かい風になりがちな飛行で燃料は多めとなっていたと思われる。ほぼ満席で気温の高い状態のでの離陸では3500mの滑走路長はそれほどの余裕はなく、ましてやLN26というやや重めの機体故厳しさはなおさらだったと想像される。当日の離陸ビデオでも滑走に路端付近でやっと離陸している状況が見て取れる。
ビデオで見る限り離陸後の飛行は両エンジンの同時不調が事故原因として最も考えられるように見える、エンジン不調で自動展開するラムエアタービンも展開していたようだとの情報も流れている。こんなことを引き起こしえるのはエンジンを制御するソフトに何か落とし穴があったか燃料及び燃料供給系に何らかの異常があった位しか思いつかない。鳥衝突は鳥の残骸が発見されておらずまたぴったり同時に両エンジンを止めるほどの衝突があったとは考えにくくこれではないように思える。
ともかく回収されたフライトレコーダとボイスレコーダには重要なデータが残されているはずであり事故原因の究明が待たれる
これとは別に、エアインディアの機体の整備はトルコの会社が担当しているところがあり印パの戦争状態の現状から事故原因にイスラムの影を疑うNet情報が流れ、急遽トルコからこの機体の整備にはかかわっていないという声明が出されたり、エアインディアがタタグループ傘下に入りエアバス・ボーイングに大量発注を行っており事業の急拡大に進んでいたことが事故の背景にあるのではないかとの憶測が出てきたりと、ネット上の話題は尽きない。翌日のイスラエルによるイラン空爆のニュースに放送のニュースは圧倒されてしまったがnetの情報は出続けており、報道の流すニュースの選択権力のような力がむなしくなりつつある現実も面白い気がして眺めている。
さてどうなるか。

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2024年5月26日 (日)

シンガポール航空SQ321便の乱気流事故

数日前ぼんやりテレビを見ていたらシンガポール航空の機体が乱気流に巻き込まれ乗客1名が死亡したというニュースが飛び込んできて驚いた。乱気流で旅客機乗客が死亡したという事故は聞いたことがなかった。事故の詳細を調べにかかったが、シンガポール航空側が細かい説明を公表していないようでなかなか起こったことにたどり着くのに時間がかかった。本日現在分かったことは以下の通り。
2024年5月20日21時38分46秒UTCにロンドン・ヒースロー空港をシンガポールに向けて離陸したシンガポール航空SQ321便(乗員18名乗客211名)ボーイング777-312ER(登録番号9V-SWM)はミャンマー上空を37000ftで通過飛行中はげしい乱気流に巻き込まれ多数のけが人と一人の死亡者を出しバンコク国際空港に緊急着陸した、というもの。亡くなった一名は心臓系の持病があったようだとも報じられている。事故当時は食事が出されていてシートベルト着用サインが出た直ぐ後だったといわれる。発生時刻は21日7時49分UTC(14時49分バンコク時間)で地上では場所によっては雨が降っていた模様。飛行時の高度速度上昇率データはリアルタイムで機上から送信されるADS-Bデータに基づきSq321flt1a  FlightAware またはFlightradar24のサイトで30秒ごとのデータとして誰でも見ることができる。今回の事象はおよそ1分間の間の激しい上下運動で30秒毎ではつかみきれないがこの間のより細かいデータ(3.75秒事毎のデータと思われる)がFlightradar24のサイトにグラフで公表されている。これによれば短い時間の間に1600Ft/min(8m/s)の上昇から逆に1600ft/min(-8m/s)の急降下が波状的に起こっておりこれではシートベルトをしていなかった乗員乗客は相当の被害を受けたのも当然と納得される。この時の気象条件は必ずしもまだ明らかにはされていないが、37000ft上空での前線というものは考えにくく午後の時間帯の強い日射で地上付近で立ち上がった積乱雲のTopが成Sq321flt01  層圏に入り込んだのではないかと想像される。赤道付近は定常的に雨雲が発達しやすくこの日のこの時刻頃もミャンマーの事故発生場所付近には南北に雨域が伸びている。そういう意味ではこのような事故は特に赤道付近では今後も起こりSq321fltame0a1  Sq321fltamea うるとも思われる。「何はなくともシートベル」につきるのだろう

2024.6.12追記:事故発生時刻頃(2024.5.21 7:30UTC)の広域雲解析情報図(TSAS1)では50000ftまで伸びる積乱雲が事故地点付近R240521071x に観測されていた。

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2023年9月19日 (火)

今年1月のネパールの墜落事故原因があんまりで

9月にアマゾンで釣り客を乗せたエアタクシー機が悪天候で着陸に失敗し乗員乗客14名全員が死亡した事故があったが、このところエアラインとしての墜落事故は年1回程度で、今年は1月にネパールで72人が無くなるYite航空の墜落事故があったっきりだ。その後の事故調査はどうなったのだろうと調べてみると事故の翌月2月にデータレコーダ/ボイスレコーダを解析した速報がネパールの事故調から出たっきりで最終報告書はまだ出ていない。しかし、2月の報告でおおよその事 故の推移は解る。結論から言えば事故発生時操縦していたのは副操縦士でこれを助ける立場の機長が操縦士のコールに従ってフラップレバーを操作してフラップ30度下げとする所を隣のコンディションレバーを操作してプロペラをプロペラフェザー(無推力状態)にしてしまってエンジンは推力を失い回復手順が間に合わないまま最終旋回中に失速墜落した、ということのようだ。信じられない誤操作だ。レバーは近い位置にあるとはいえ、経験Yeti651accident 豊富な機長が間違えるとはと思ってしまう。誤操作の原因を明らかにするところで最終報告に時間がかかっているのかもしれない。ともかく完全なヒューマンエラーだ。
ひとつ前のエアライン墜落事故である2022年3月の中国東方航空MU5735便墜落事故も正式な事故報告書は出されていないがウオールストリートジャーナルが報じる(データレコーダ、ボイスレコーダ解析に接しえたと思われる)米国当局筋の情報では、乗員の一人が故意に墜落させたということのようで、人間の問題をどう安全に導くか、これが航空機安全の最後の壁のように感じられてしまう。
航空機事故で死亡する確率はクルマより遥かに低いものになっているとはいえ、人の関わることには絶対はない、それが人間というものなのだろう、この宇宙で生きていくということなのだろう。

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2023年1月29日 (日)

ネパールの旅客機墜落事故が気になっていて

2023年1月15日ネパールのポカラで旅客機墜落事故が発生してもう2週間経つが依然事故原因については明らかになってこず気になっている。ここらで現在得られる情報を整理してみる。
事故機はネパールの国内線でイエティ航空691便、機体はフランス/イタリア共同のATR社製72人乗りコミューター旅客機ATR72-500(エンジンはP&WカナダのPW127Fターボプロップ双発)、事故時の搭乗は乗員4名乗客68名で全員死亡。機齢は15年6か月で普通の感じだ。事故機は現地時間1月15日10時33分(4:48UTC、現地時間はグリニッチ時であるUTCに+5:45))カトマンズ国際空港を離陸し、ポカラ空港に向かっていたところポカラ空港北西の滑走路延長上の川の土手に墜落した。事故発生は11時過ぎとみられる。管制への異常連絡は無かった。ポカラ空港の滑走路は12-30(進入が120度又は300度の方向の滑走路)で、ポカラの管制は東南(30)からの進入を伝えていたがパイロットが直前に北西側(12)からの進入Map1_20230129224101 に変更した。多くの機体は30側から進入しておりILS機器も30側に設置してある。当日の気象はポカラの6:00utcのsynopデータでは180°(南)の風5ktだから、若干の背風となる30側の進入を嫌ったとも思える。客室からの映像がFacebookのストリーミングに残されているが墜落寸前までは普通の飛行にみえる。地上から撮られた墜落寸前のビデオからはファイナルターンをしているところでバンクが増えてそのまま地上に突っ込んだように見える。
フライトレコーダとボイスレコーダは回収され間もなくシンガポールで解析されると伝えられている。当初はフランスに送られると伝えられていたがシンガポールで解析と決着したようだ。機体製造国の解析では中立性に疑問を抱いたのかもしれない。
機器の不具合については明らかではないが機上の飛行データを地上にリアルタイムで送るADS-Bの飛行高度速度データが異常で、送信も飛行途中で終わっており、少なくもこのシスTuirakumae テムには不具合があったことは明らかなようだ。このため事故があるとすぐに公表されるFlightdata24によるデータが今回は得られていない。フライトレコーダの読み取り結果公表まではこれ以上のことは解らないというのが現状だ。
機器の故障としてファイナルターン中の事故ということで、例えばファイナルターン中にフラップを下ろそうとしたが片側がうまく下りず片フラップになって操縦輪では負けてしまった、とかが考えられるがそこまでの故障がありうるのか、分からない。地上からのビデオ映像では失速-スピンというのでもないように見える。
副操縦士はこのフライトがうまくいけばこの後機長に昇格となることになっていたと伝えられており、事故機の機長はその最終判定役として振舞っていて操縦の修正が遅れたとも考えられなくもないが、安全優先は機長も勿論熟知しておりその線は薄いように思える。

どんな教訓をこの事故はもたらしてくれるだろうか、フライトレコーダとボイスレコーダ情報で多くの疑問が解かれると期待され、解析が待たれる。

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2022年4月17日 (日)

中国東方航空MU5735の墜落が

先月中国で巡航中突然墜落した737の事故の原因がまだ明らかにされなくて気になっている。
2022年3月21日、中国・雲南省昆明市の昆明長水国際空港を広東省広州市の広州白雲国際空港に向けて05:15 UTC に離陸した中国東方航空のBoeing737-800、MU5735便は06:20UTC頃通常通り29100ftの巡航高度から降下を始めたが06:22 UTC頃広西チワン族自治区藤県付近の山中に墜落した。正確な墜落地点の情報はないが、比較的低い山の連なる山地で標高500-1000m程度とグーグルマップからは推測される。乗員9名乗客123名は全員死亡。墜落現場は大きな穴が開き部品の散乱範囲は狭い。翼端のウイングレットだけは10km位離れた地点で発見されている、高速の降下で最初にここがちぎれたのかもしれない。近くの鉱山の監視カメラが撮ったとされる映像や目撃者談ではかなりの急角度で高速で墜落激突したように思える。フライトレコーダ、ボイスレコーダは回収され米国に送られ解析中らしい。米国の事故調であるNTSBが依頼により協力している。1か月以内に調査結果のあらましが中国側から発表されるという。
現在公表されているデータはリアルタイムで送られてきていたADS-Mu5735final150secondsaltitudespeedverticBデータだけではある。
これを見ると、高度約30000ftで巡航飛行後着陸に備えエンジンを絞って降下しているようだが降下開始タイミングそのものは通常通りのようだ、しかしその後は急な降下となって急加速しており明らかに操縦がおかしい、部分的に上昇したりもしている。運動エネルギーと位置エネルギーの和を計算してみると平均のグライドパスは滑空比5-6程度で降下しておりエネルギー的には落ち着いていて、エンジンを絞ったままの状態でEnergyhight エレベータ操舵で減速上昇・加速降下を行っているように見える。データは高度およそ3000ft(1500m)で終わっていてグラフから読み取って計算するとこの時の降下角は36度位で異常に急な降下には違いないが垂直降下ではない。監視カメラといわれる映像が垂直降下に見えるのは見ているカメラの向きが関係しているのかもしれない。
これだけでは原因は分からない、エレベータ操舵系統の故障・破損かもしれないし、パイロットの意図的操舵ということも考えられないわけではない。エンジンパワーの操作はどうだったのか、色々考えてしまう。フライトレコーダのデータが読めていれば原因は相当のところまで絞られているとみられるが発表がまだないのはどういうことだろうか、政治的な考慮があるのかもしれない。
ともかく発表が待たれる。

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2021年2月27日 (土)

UNITEDのBoeing777-200のエンジンが飛散して

つい数日前の2021.2.20,米国デンバーからホノルルへ向かうユナイテッド航空のボーイング777-200の右エンジンが離陸直後に分解しはじめ、地上に部品がばらまかれてエンジンから出火した。機体は急ぎ空港に戻って無事着陸できたが燃えるエンジンの映像が世界に衝撃を与えた。
直接の原因はファンブレードの破壊だった。日本でも昨年末の2020.12.4、羽田に向けて那覇を離陸した777-200の右エンジンが離陸直後United328 同じような状態になったが無事着陸できたトラブルがあったばかりだった。やはりファンブレードの破壊で引き起こされており、エンジンは2つのケースともプラットアンドホイットニー(P&W)製のPW4000-112のエンジンだった。
日本の航空局はこのユナイテッドのトラブルの報を受けて直ぐにPW4000-112のエンジンを付けた777に飛行停止の指示を出した。ユナイテッドのPW4000-112エンジン付き777-200は3年前の 2018.2.13、同じハワイ線でホノルル着陸寸前に似たようなファンブレードの破壊によるエンジン分解が起こっていた。この時は検査にミスがあって傷のあるファンブレードが検査でひっかからずに飛行に供されていたのが原因とされていた。
要するに、PW4000のファンブレードに問題がこのところしきりに起こっているということになる。
777が初めて飛び始めた時(1995年)の型式が777-200で最初の機体にはこのPW4000-112が付けられていた。このエンジンは当時最大の推力を持つファンエンジンでこれを実現するために色々な工夫が凝らされていた、その一つが今回破壊に至ったファンブレードだった。
Pwblade それまでのファンブレードはファンの途中にシュラウドまたはスナバと呼ばれる支えがぐるりとついて剛性を高めていたがそのための空力的ロスや重量増が避けられなかった。更に巨大なエンジンを実現するためにこのスナバの無い形式が検討され、幅広で中空のチタンブレードによりこれを実現した。P&Wとロールスロイスはこの方式としたがGEは全く新たに開発した複合材のファンブレードを採用してこれに対抗した。3つ巴となったエンジンメーカーの戦いは先行したP&Wが初めは有利だったが、初期トラブルを克服した最も軽いロールスのエンジンが多くの顧客を獲得するようになり、また777-200の発展型である777-200LR/-300ではGEの独占供給となりP&Wエンジンは777では少数派に転落した、という経緯があった。
今回のトラブルではチタンブレードの疲労破壊がその原因と疑われている、少なくとも前2回のトラブルではそれが明瞭になっている。金属部品の宿命でもある。ファンブレードは鳥衝突や砂吸い込み等で傷つきやすい、かなり高価な部品でもあるのでやたら交換するわけにもいかず慎重な検査を行いつつ飛行を維持するということが続けられてきた。それがこのところ破綻し始めているということのように見える。(写真下は昨年那覇でブレードが飛散した事故エンジンのブレード断面写真、事故調による事故の速報より)

ちなみに第2世代の777のエンジンとなったGE90はあのつぶれてしまった日米共同プログラムYXX/7J7のエンジンとして、GEが開発を進めていた複合材プロップファンGE36がその土台となっている。ここにもYXXという消えていったプログラムの残しえた技術がその後の航空機開発に残したものを見ることができるように思える。複合材ブレードなら疲労破壊から逃れられる。

今回のトラブルは、最早古くなってしまった777-200という機体の退役を早めるだけかもしれない。ここに至る時の流れを、こんな風に眺め行くのも感慨深い。

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2021年1月13日 (水)

インドネシア・スリウィジャヤ航空SJ182便の墜落

時間が出来たので1月9日に起こったインドネシアの墜落事故の状況を調べ始める。気になっていた。
Map2 インドネシア・スリウィジャヤ航空SJ182便ジャカルタ発ポンティアナック行き737-500が現地時間9日14時35分(7:35UTC)ジャカルタ空港を離陸Flightradar24 した5分後海上に墜落した。乗員6名乗客56名全員が死亡したとみられる。フライトレコーダは12日現在未だ回収されていない。
Flightdataリアルタイムで地上に送られ残されたflightradar24の高度速度データを見てみると最後のところが見にくいのでデータを一々読み取って表にしてみる。速度と高度の減り方が何となく変だ。位置エネルギーと運動エネルギーをそれぞれ出してグラフにしてみると何となくわかる。高度が下がり始め操縦輪を引いて保持できなくなって速度もみるみる下がり最後は失速してスピンに入ったのだろうか自由落下のようになり海面に激突しているようだ。これだけ見ると両エンジンが突然同時に出力を失ったようにも思えるがそれにしても高度の落ち方が急すぎる。燃料系統の深刻なトラブルに加えて何かが起こったのだろうか。滑空して着水という手もあったのだろうが、あまりにも急でとっさの処置がうまくできなかったようにも見える。雷雲が所々にあり天候はいいとは言えないが旅客機を墜落させるほど07utc08utcame とは思えない(下図:墜落当時の雨の状況)、これくらいはこの時期ここではよくある天気と思える。また737か、というところがボーイングにはつらいだろう。泣きっ面にハチの様相だ。
ともかくフライトレコーダが回収されないと原因究明は難しいだろう、発見を期待するばかりだ。

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2020年6月15日 (月)

パキスタンでA320が墜落

 

新型コロナで航空輸送はばったり旅行客が減り何処も経営が苦しくなっているようだがここへきてパキスタンで旅客機が墜落し百名近い人命が失われた。この時期にしては結構な数の乗客が搭乗していたことになるが、パキスタンでは感染者が増加している中、経済が持たないと5月9日にロックダウンを解除した、それがそれなりの搭乗者のある運航をもたらしていたのだろう。パキスタンでは5月上旬に感染者が2万5千人位だったものが6月初めにはおよそ8万人まで急拡大している。経済と感染抑制を両立できない厳しい現実がここにはある様だ。

5月22日現地時間14:40頃(0940UTC)、カラチの国際空港近くにパキスタンのフラッグキャリアであるパキスタン航空の国内線エアバスA320が墜落した。フライトレコーダーやボイスレコーダーはすぐに回収され解析中だがまだ一向にそれに基づく速報が出てこない。取りあえずここまでの公開情報からわかることをまとめておくと以下の通りKarachiia になる。パイロットエラーの疑いが濃厚のようだ。機体は2004年製で機令が15年位と少し古いが3月に(定期の)検査をしたところで、特に問題は報告されてはいなかった模様だ。
機長はこの会社で最も経験豊かなパイロットだったようで(機長は54才、17000時間の飛行時間(A320の4,700時間を含む )を持つ)、気象条件も晴れで特に問題無ない状態でカラチ空港に着陸しようとしていた(カラチ空港METAR では 9:25で OPKC 220925Z 202005220g1 24011KT 7000 NSC 35/24 Q1004 NOSIGで 雲も無くほぼ正対の風が5.6m/s位で視程も7kmと良好な気象条件を示している)。
アプローチの高度が通常よりもかなり高かったため管制は注意したが問題ないと機長は応答しそのまま飛行した。高いまま着陸しょうとしたためかタッチダウンのポイントが滑走路の半ばくらいになってしまっていたが何故か脚を下ろしていなかった状態で接地した。管制に何の連絡もないため着陸装置に問題があって脚が出なかったとは考えにくい、脚の出し忘れと推定される。管制との交信の背後で警報が鳴っていたのが認められたとの記事がある。
ナセルが接地しゴーアラウンドしようとしたが跳ねて2度目の接地をおこないまたナセルを滑走路に打ち付けた後やっと上昇に転じた(生存者は3回の接地衝撃があったと証言している、左右エンジンナセルに接地の差があったのだろう)。この時地上から両エンジンからのはっきりとしたオイル漏れが確認されており、エンジン下部が両エンジンとも破損したと推定される。直後はエンジンは一応動いていたものの高度はあまり取れず小さな場周パターンを描いて再度着陸しようとするがついに両エンジンが停止し、滑走路までたどり着けずに手前の住宅密集地に墜落した。乗員乗客99名のうち生存者は乗客2名のみだった、というところが事故のあらましのようだ。
ここまでのところではこの超ベテランの機長の強引な飛行と脚下げ忘れというミスがあったことは明らかなようだ。脚下げ警報が鳴り響いていたことが管制との交信でも確認されており全く警報の言うことも聞かない飛行だったようなのも驚く。
何故機長がここまでの振る舞いをしたか、まだ解らない。
おやと思うのは公式以外の解析が思いの外素早くネットにアップされ事故の飛行をそれらしく再現して見せていることだ。Flight24等で公開されている機上から送られてくるデータや管制との交信データをもとに作成されたシミュレーション画像がYoutubeにアップされていて、それらしい、これは相当の知識がないとできない解析を行っているように見える。そんな目がある中では公的機関の事故解析もいい加減なレポートは出せなくなっている、そんな時代なのだろう。Youtubeは:
https://www.youtube.com/watch?v=76osJupy_P8/
パキスタン航空機による脚下げ忘れ着陸は、1986年2月,747でイスラマバード空港でも起こっている。同じことがまた起こったという内部の声もある様だ。
上記のそれらしいシミュレーションを見ても結局のところ分からないことが次々に出てくる、最初の脚上げで接地したのは純粋にパイロットのミス(コパイも含め)か或いは何らかの機器トラブルが発生していたのか、管制にパイロットからトラブル発生の報告は墜落寸前まで行われていないのは何故か、滅多にないと思われる旅客機の脚上げ着陸が以前にも同じパキスタン航空で起こっていたのには何かまだ改善されていない体質がこのエアラインに残っていたのか、1回目の高すぎる着陸進入でパイロットが管制の指示をまともに聴いていないようなのは何故か、等々と幾つも疑問が湧いてくる。
フライトレコーダーやボイスレコーダーで事故の詳細状況が公に明らかにされた後、解決さるべき、組織やコーディネーションや風土等の人の関わる問題がそこには横たわっているように思われてならない。こんな事故を経てエアラインは安全になっていくのだろう。

 

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2019年7月 8日 (月)

久し振りの東京

 

10日ほど前久しぶりに東京へ行った。人が多いのにはやはり疲れた。
往きはLCCのピーチの格安切符で成田経由だ。会合が始まる13時には飛行機に遅れさえなければ十分間に合うはずだった。LCCは折り返しはややきつめのタイムスケジュールで運航されており朝の便が遅れるとその日はその機体の便は全て遅れる、そんなことから朝の便のタイムキープはかなりしっかりやる、それを信頼しての選択でもある。懸念は天候だった。台風崩れの熱低が気になっていたが、それではなくてG20大阪サミットのセキュリティで到着遅れ、出発遅れ、が朝から起こってしまった。機体は関西から飛来したが確かにこの日は大阪G20の初日だ。福岡空港でもゲートでブザーが鳴ってボディータッチを受けたが聞くとG20で感度を上げているという。ベルトのバックルが引っかかったようだがこんなことは初めてだ。とにかくG20で遅れたというとどうしようもない、受け入れるばかりだ。
座席で気づいたのは非常口のところは座席間隔がかなり広いということだ、LCCのハイピッチではそれが余計に目立つ。次にLCCに乗る時は非常口横の窓側の席にしよう、未だに新しい発見をするのがうれしい。

到着が40分くらい遅れ、予定していた京急のアクセス特急羽田行きには間に合わず、金を余計に払ってでもJRの成田エクスプレスにしようかと心が動いたが、隣の窓口のバス会社に試しに聞くと東京駅まで1時間半では行きそうで京成バスは1時間でとも言う、1000円というのが魅力的でもありバスを選択した。
Shuttlebus 今回は空港内の窓口で予約して乗車券を買い求めたが1000円バスは予約切符を買わない方がむしろいいようだった。ターミナル1では31番乗り場で待っていると次々と来る幾つかのバス会社のバスにその場での現金支払いで乗れて、これが良さそうだった。今回はすぐ来たバスはやり過ごして少し待って予約の京成バスに乗ることになったがそれなりに走行技術が高く結局1時間かからずに予定より早く八重洲北口まで到達した、悪くもない選択ではあった気がする。約束の食事場所には数分遅れで到着できてめでたしとなった。前にも思ったがこの1000円バスは信頼感が思いのほか高い。成田‐東京はこれに限るようだ。

今回の東京旅行では大学の同期会2つと学科全体の同窓会1つに出た。同期会の方は集まり方が良くなってきている。いずれもだ。仕事を終わってやることがなくなった人が増えたということかもしれない。それぞれに別の場所で同じに流れてきた時間を語り合うことが楽しい。立体的な生きる構図が見えてくる思いがある。
それにしても集まりがいいのは、会えるうちに会っておかないと向こうもこっちもいつ倒れるか分からない年代に差し掛かってきたということもあるようだ。今回は今年クモ膜下出血で倒れてしゃべることができなくなっている同期の友人も見舞った。いつ何時自分の身に起こるかもしれない。他人ごとではない。物故者も出て出席が物理的に可能な人数がボロボロと減っていく。避けようがない。

せっかく東京に来たのだからと丁度開催されているクリムト展を上野に観に行く。開場前から長蛇の列だ、とにかく並ぶ。入場が始まっても入場制限をかけていてすぐにはは入れない。女性の数が多い。観客に馬力がある。しっかり見ている。東京という街のエネルギーを感じる。
見たことの無い精緻な絵などずいぶんと出品数も多いが、これは、と思ったのは小さな赤い手帳だった。大きな天井絵や壁画を作るにあたっての構想図が小さな手帳に描かれている、なんだか普通だ、発想をまとめるに一目でわかる小さな絵からスタートしているところに親近感を覚える。これでいいんだ、そう思う。


帰りはJALのマイルフライトで要するにタダだ、こんな旅にはあまりお金をかけられない、しかし自分自身の時間の旅のようでもあり貴重だ。
3時間くらい前に羽田に着いたので前の便に変更しようとするがここでも長蛇の列だ。やっとの思いで1便前のに変えたがこれがなんと到着遅れで出発が50分近く遅れてしまった。元の便も15分位は遅れたようなので福岡着はそれでも30分位は早くつけたのだが何だかくたびれもうけだ。
東京という街の人の多さには改めてうんざりする。街の能力の限界に近付いているのではないか、そう思ってしまうほどだ。

いい旅というものでもない。しかし思い出に残ってしまう旅なのだろう、こういう旅は

 

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